大塚家具にみる同族経営の難しさと事業継承の本質
今話題の大塚家具のお家騒動で、改めて「同族経営」というキーワードが注目をあつめている。
大塚家具は大塚勝久氏が高級家具を会員制で販売を行ってきたことで、成功した企業です。
しかし、昨今では低価格帯の家具の需給が増えたことで、赤字経営がつづいてきた中での起死回生として後継者として娘久美子氏を社長に据えたのです。
しかし、それが家族を二分する内紛となってしまったのです。
同族経営の難しさを象徴するような事象となり注目を集めています。
私も同族経営の会社に勤めていたこともあり、オーナー企業にはあまり良いイメージがなかった。
私が以前勤めていた会社は、典型的な2代目のダメ社長に社員が翻弄され、お客様ありきの経営ではなく、自分本位の経営をして社員を冷遇し続けたことで、危機的な状況にありました。
離職率は高く、拡大した事業はすぐに縮小してしまうようなことを繰り返したことで、優秀な社員は減り、モチベーションも下がったことで、仕事のクオリティーも維持できない状況となっているのが現状です。
何故、同族経営が会社をダメにするのか!?
はたして、同族だからダメなのか!?
決してそんなことない。
同族だからと言ってうまくいっている企業も多い。
同族経営のメリットとデメリット
同族経営によるメリットとデメリットを見てみるとよくわかります。
同族経営のデメリット
1つは、創業者は一から今の社会的地位を作り上げてきたのだが、2代目以降は元から社会的地位を確保した状態で経営を行うわけだから、一番大事な作り上げていく部分が欠落している。
2つ目は、現経営が悪化している場合や方針に間違いがあったとしても身内ばかりの役員人事では、第3者による修正がしにくい。
3つ目は、好き嫌いの情実人事がまかり通ってしまいやすく、一族以外はほぼ社長になれないため、社員のやる気を削いでしまう。
4つ目は、モラルハザードやコンプライアンス違反を起こしやすい点。
しかし、そんな会社ばかりではなく、うまくいっている会社もたくさんあります。
では、どこに違いがあるのでしょう?
うまくいっているところは同族経営のメリットを利用しているところにある。
同族経営のメリット
周りの意見を気にせず、素早い経営判断と実行ができる環境と、任期がないので長いスパンの経営方針が立てやすいということ。
ただそれには、社長の理念や社員との接し方が、正しいものであることが大前提となりますが・・・
事業継承の重要性
これらのことから同族経営がうまくいくか否かは、社長次第でどうにでもなることがわかります!
そして、うまく活かすには事業継承が重要であることを表しています。
これは、創業者がいかに2代目の経営者をうまく育て上げる必要があるかにかかっている。
どうしても、オーナー企業は外部から優秀な役員を呼びたがらない。
それは、自分の理念や方針を継承してほしい気持ちが強く、経営から退いても影響力を残しておきたいと考え、自分の分身のような身内に頼ってしまう。
しかし、そういう考えで事業継承を行うと失敗してしまうのです。
事業継承を成功させる方法
1. 事業継承の方針を明確にし、いったん決めた方針は、親族間での争いや従業員、取引先との信頼損失がないよう、合理的理由がない限り変更しない。
2. 引き継いだ会社を維持発展させるという強い意志のある後継者を選定し、継承する。
3. 現経営者と後継者との間にしっかりとした信頼関係が築かれている。
4. なるべく早期から継承に向けた取り組みを行い、準備をしっかりと行う。
これらのポイントを踏まえ、事業継承を行っていくことで大塚家具の二の前を防げる可能性が格段に上がります。
私は、大塚家具のゴタゴタを見ていると、従業員や顧客のことは考えていないと感じる。これじゃあ失敗するの当然だわ。
方針を転換するごとに迷惑を被っているのは、顧客であり、顧客に直接対応する従業員のみなさんだということを役員が気づかない限り、大塚家具の未来はないでしょうね。